第31話「レトロの記憶、未来の服」

春の柔らかな日差しが差し込む午後、桜子のリビングに4人が集まっていた。新たなプロジェクト「シナジーレトロ」のアイデアを練るためのミーティングだ。

「柚木沙弥郎さんの作品に学ぶ」

「ねぇ、みんな。最近、柚木沙弥郎先生の作品を見たんだけど、すごく刺激を受けたの」紫陽花がタブレットを手に話し始めた。

「柚木沙弥郎先生って、染色家の?」紅葉が首をかしげる。

「そう。1922年生まれで、戦後すぐに染色の道に進まれた方。型染めだけでなく、版画や絵本など多彩な作品を手掛けているの。惜しまれながら2024年に101歳の生涯を閉じたそうよ。」紫陽花がタブレットの画面を皆に見せる。

「すごいエネルギーだね」柚が感心したように頷く。

「色彩と模様の魅力」

「柚木先生の作品って、色使いが鮮やかで、模様も独特でしょ?それがすごくモダンに感じられるんだ」紫陽花がタブレットの画面を皆に見せる。

「本当だ。これ、何十年も前の作品なのに、今見ても新鮮」桜子が驚いたように言う。

「先生は、『模様が美だ』と考えていて、自然の中にある形や色を、人間の手で模様として表現することに喜びを見出していたみたい」紫陽花が続ける。

「プロジェクトへのインスピレーション」

「なるほど。自然の美しさを再解釈して、新しい形にする。それって、私たちのプロジェクトにも通じるところがあるね」紅葉が微笑む。

「そうだね。レトロなファッションや着物を、現代の感性でリメイクして、新しい価値を生み出す。それって、過去と未来をつなぐ作業だと思う」柚が静かに言った。

「模様と色使いへのこだわり」

「柚木先生の作品からインスピレーションを得て、私たちも模様色使いにこだわってみるのはどうかな?例えば、先生の作品にあるような大胆な色彩やパターンを取り入れてみるとか」紫陽花が提案する。

「いいね!それに、先生の作品ってすごく楽しそう。私たちも楽しみながら、自由な発想でデザインしてみようよ」桜子が目を輝かせる。

自由であること楽しむこと。それが、長く愛されるデザインにつながるのかもしれないね」紅葉が頷く。

「新たな挑戦への決意」

「よし、柚木沙弥郎先生の精神を受け継いで、私たちも新しい服作りに挑戦しよう!」柚が拳を上げると、全員が笑顔でそれに続いた。

春の風が、彼女たちの新たな挑戦を優しく後押ししているようだった。


柚木沙弥郎氏の作品ページ:


次回予告:第32話「布に刻む物語」

模様は語る。色は響く。
紅葉が新たなインスピレーションを得て描き出すのは、過去と今を結ぶ一着の布。
古布に込められた誰かの想いが、彼女のデザインの中で息を吹き返す。

一方、桜子たちはそれぞれの思い出を重ねながら、「サステナブル」に向き合う。
美しさと意味が共存する服づくり。その第一歩が、いま始まる――。

「誰かの時間を、誰かの未来に繋ぐために。」

次回もお楽しみに。

サスティナブルファッションとは

環境や社会への配慮を重視したファッションのスタイルや取り組みを指す。具体的には、再生可能な資源やエコ素材を使用した衣類、労働者の人権を尊重した生産過程、使い捨てではなく長く愛用できるデザインが特徴。環境にやさしく、持続可能なファッションの提案が広がっている。
環境省_サステナブルファッション


✒️ 作者のひとこと

このエピソードは、私が昨日たまたま立ち寄った「可否館」で出会った、ひとつのユニフォームから始まりました。
その布に込められた温もりと力強さに、どこか懐かしさと未来を感じたのです。

そのデザインが、柚木沙弥郎先生のものであると知ったとき、私の中で静かに火が灯りました。
ちょうど今、私自身の「隠れ家サロン」──イロカラドットコムの暖簾を作りたいと考えていたところで、
その空間を彩るものとして、柚木先生の作品に通じる“温もりと遊び心”がぴったりだと感じたのです。

この物語もまた、過去からの影響を受けながら、未来を編んでいくもの。
そんな想いを、紅葉たち4人のやりとりに重ねて綴りました。

イラスト・デザイン・文章/浜辺ゆう子

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