秋山紅葉は、自分の創造的な力に誇りを持ちつつも、常に不安と葛藤の中にいた。彼女はデザイン専門学校に通い、ファッションデザインを学んでいたが、クラスメートたちの才能が眩しく、自分が埋もれてしまうような感覚に苛まれていた。
紅葉は、細部にまでこだわる繊細なデザインを得意としていたが、それでも自分の作品に自信が持てなかった。クラスメートや講師からは高く評価されることが多かったが、その評価が素直に受け取れない。評価されればされるほど、彼女は自分にプレッシャーをかけ、次第に自分の創作に対する不安が増していった。
その日も、授業が終り家に帰る途中、紅葉は考えていた。「私のデザイン、本当にこれでいいのかな…。もっと何かできるはずなのに、どうしてこんなに不安なんだろう?」街を歩きながら、ふとショーウィンドウに映る自分の姿が目に入る。おしゃれには気を使っているが、どこか自信のないその表情が、自分の心の内をそのまま映し出しているようだった。
そんな中、紅葉はインターネットで見つけたオンラインコミュニティに参加してみることにした。そこには、ファッションに熱意を持つ若者たちが集まり、自由に意見を交わしていた。彼女はその中に、桜子が書き込んだサステナブルファッションのアイデアに強く惹かれた。
「ファッションと環境問題…か。面白そうだけど、私にそんな大きなテーマを扱えるかな?」
紅葉はしばらく迷ったが、桜子の情熱的な文章に心を動かされ、思い切ってコメントを残した。
「興味深いアイデアですね。私もファッションデザインを勉強しています。何か協力できることがあれば、お手伝いしたいです。」
数分後、桜子からの返信が来た。
「紅葉さん、ぜひ一緒にやりましょう!私もまだ手探りだけど、皆で力を合わせればきっと素敵なプロジェクトができると思うの!」
桜子の明るく前向きな言葉に、紅葉の心が少し軽くなった。自分一人では抱えきれなかった不安やプレッシャーも、誰かと一緒なら乗り越えられるかもしれない。紅葉は自分のデザインで何ができるのか、少しずつ見えてきた気がした。
「よし、やってみよう。まずは一歩踏み出さないと」
この一言で始まった新たな挑戦が、紅葉を少しずつ変えていく。彼女は、サステナブルファッションプロジェクトに積極的に関わることを決意し、自分の中に眠る本当の可能性を信じる勇気を持ち始めた。
次回予告
紅葉が新たな挑戦に踏み出した頃、リーダーシップを発揮し始める柚がついに動き出す。彼女が取り組むのは、社会をより良くするための大きなプロジェクト。4人が次第に互いに共鳴し合い、共通の目標に向かって歩み始める――。
次回、第4話: 「柚、リーダーとしての決意」
静かで落ち着いたリーダーシップを持つ柚が、自分の夢に向かって動き出す。。彼女が抱く大きな夢とは何か?そして、それを実現するための仲間たちとの出会いが描かれる。
作者の勝手なオススメソング!「間違いか正解か」自分を信じる力と情熱を貫ける曲
菅田将暉 『まちがいさがし』/ 間違いか正解かなんてどうでもよかった
「紅葉がこの曲を聴いたら、涙が溢れるんじゃないかな?」歌詞はもちろん菅田将暉さんの歌声に心が震えます。