冬の街とアンケートの行方
寒さが一段と深まる街。明日はクリスマスイブ。イルミネーションが輝く通りには、大勢の人が行き交い、どこかそわそわとした雰囲気が漂っていた。そんな中、4人の姿があった。
「さあ、やるよ!」桜子の元気な声が響く。
「え、いきなり?もっと流れを作ってからにしようよ…」紫陽花は少し緊張した面持ちで言った。
クリスマスイブに向けて、4人はプロジェクトのための「サステナブルファッションに関するアンケート」を街で実施することにしていた。普段はオンラインでやりとりをしている彼女たちだが、今回は直接人と対話し、リアルな声を集めることを決めたのだ。
「でも、やっぱり緊張するよね。知らない人に声かけるなんて…」紅葉がマフラーに顔を埋めるように言う。
「いい機会じゃない?ほら、クリスマスの雰囲気でみんな明るいし、話しかけやすいはず!」柚が穏やかな口調で励ました。彼女の声にはどこか安心感があった。
声をかける挑戦
最初に動いたのは桜子だった。
「すみませーん!少しだけアンケートにご協力お願いできませんか?」
若い女性2人組が足を止めた。「何のアンケートですか?」
「サステナブルファッションについてです!環境にも人にも優しいファッションを広めるためのアイデアを集めています!」
桜子が笑顔で答えると、女性たちは快く協力してくれた。
その様子を見ていた紫陽花は、少し勇気を出して声をかけることにした。「すみません、アンケートに…」
「あ、急いでるんで」
冷たく断られる。肩を落とす紫陽花に、紅葉がそっと近寄った。
「私も一緒にやるから、もう一回トライしよう?」
紫陽花と紅葉が2人組で声をかけ始めると、少しずつアンケートに答えてくれる人が増えてきた。
思わぬ出会い
途中、柚が1人の初老の男性に声をかけた。彼は少し驚いた様子で立ち止まった。
「サステナブル…ねえ。若い人がこういうことに興味を持ってくれるのは嬉しいね。」
彼は昔、アパレル業界で働いていたという。
「昔は良いものを作って長く着てもらうのが普通だった。だけど、時代が変わって、どんどん消費されるファッションが求められるようになった。君たちのプロジェクト、頑張りなさいよ。」
その言葉に柚は感激し、「ありがとうございます!頑張ります!」と深くお辞儀をした。
4人の思いが交差する
夜も更け、4人はカフェで集まった。手には集まったアンケートの束。
「やっぱり、みんなサステナブルファッションには興味があるみたい。でも、具体的にどうすればいいか分からないって声が多かったね。」紫陽花が言う。
「それに、コストが高いのがネックだって意見も結構あったよ。」紅葉が続ける。
「私たちが目指してるのは、もっと身近で、みんなが気軽に取り入れられるサステナブルファッションだよね。」桜子が言うと、柚が静かに頷いた。
「うん。でも、今日はみんなのリアルな声を聞けて良かった。この声をどうプロジェクトに活かすか考えよう。」
4人の中に、新たな使命感が生まれた。
クリスマスの奇跡
その時、カフェの外から賑やかな笑い声が聞こえてきた。大勢の子どもたちがクリスマスツリーの下で何かを囲んでいる。
「見てみよう!」桜子が立ち上がり、4人は外に出た。そこには、手作りの飾りを身につけた子どもたちと、大きなリサイクル素材で作られたオーナメントが飾られたツリーがあった。
「なんだか、私たちの目指してることが形になったみたいだね。」紅葉が言った。
「未来のために動き出してるのは、私たちだけじゃないんだね。」紫陽花が感慨深くつぶやく。
「よし、明日はクリスマスイブだし、もっと頑張ろう!」桜子の声に、全員が笑顔で頷いた。
プロジェクトは始まったばかり。だけど、彼女たちはこの夜、確かな一歩を踏み出したのだった。
次回予告
4人が迎えるクリスマスイブは、思いがけない展開が待っている。サステナブルな未来を目指す彼女たちに、新たな可能性が見えてくる――。
次回、第20話:「次のステップへの決意」彼女たちは何を選ぶのか?
環境や社会への配慮を重視したファッションのスタイルや取り組みを指す。具体的には、再生可能な資源やエコ素材を使用した衣類、労働者の人権を尊重した生産過程、使い捨てではなく長く愛用できるデザインが特徴。環境にやさしく、持続可能なファッションの提案が広がっている。
環境省_サステナブルファッション