*春の風が連れてくる、動き出す予感*
ふわりとカーテンが揺れる午後。
冬の冷たさがようやく和らぎ、春の匂いがほんのりと部屋を満たしていた。
紫陽花がノートパソコンに向かいながら、ふと窓の外を眺めると、柔らかな日差しに包まれた街がいつもよりキラキラと輝いて見えた。
「春って…なんか、始めたくなるね」
紫陽花の呟きに、リビングのソファに座る桜子がクスっと笑った。
「分かるー。でもさ、何を始めたらいいのか分かんない時もあるんだよね」
コーヒーカップを片手に紅葉も頷く。
「そう。でも、なんか”今”が動き出すタイミングって感じはする」
そんな3人の会話を聞きながら、柚がゆっくりと口を開いた。
「だったらさ、この春から新しいプロジェクト、始めてみない?」
「え?」と一斉に顔を上げる桜子たち。
「レトロファッションとサステナブルを掛け合わせた、次の時代の提案。今だからこそ、私たちがやれることがあると思うんだ」
*過去と未来をつなぐ “レトロ” の新しい意味*
「最近さ、レトロファッションって若い子の間でも流行ってるじゃん?」桜子が目を輝かせて言う。
「でも、その服って新しく作られた”レトロ風”が多いんだよね。だったら、本物のレトロを、今の時代に合わせて”生き返らせる”ってどう?」
「本物のレトロか…」紫陽花が小さく呟く。
「たとえば60年代のワンピースをリメイクして、今のZ世代が着られるようにしたり。古着屋さんともコラボしてさ」
「いいかも!」と紅葉が目を輝かせた。
「着物リメイクもそうだけど、やっぱり”長く愛されるもの”って大事。だから、レトロの服も『未来の服』に生まれ変わるんだね」
「そう。そしてそれがサステナブル。ファッションの流行じゃなくて、”物語”として残していく服」柚の言葉に、全員が静かに頷いた。
*生まれる、新しいビジョン*
紫陽花がパソコンに向かい、すぐにリサーチを始める。
「昔のファッションアイテムって、やっぱり質が良いものも多いよ。今なら、そこにデジタル刺繍とか、3Dプリントのアクセントとか加えられるかも」
「え、それめっちゃオシャレ!」桜子が目を輝かせる。
「レトロにテクノロジーが融合してるって、新しいサステナブルじゃん!」
「たとえば…”おばあちゃんの形見のワンピース”に、今の時代の装飾を加えて孫が着る…とか、世代を超えて愛されるデザインができたら素敵だよね」紅葉も微笑む。
「想いをつなぐ服…いいな」柚が静かに言った。
「今、サステナブルって難しく考えられてるけど、本当は”想いを大事にすること”だと思うんだ」
*未来に向かう、一歩目*
その夜、4人は遅くまで話し合い、新しいビジョンを言葉にしていった。
- レトロ×サステナブル
- 想いを紡ぐファッション
- 世代をつなぐ服
- 新しい物語をまとう
桜子が言う。
「ねぇ、このコンセプト、名前つけたいね!」
「名前…?」紫陽花が首をかしげる。
「そう、私たちの”新しい春”の始まりの名前!」
少し沈黙があったあと、柚がふっと笑った。
「どうかな。『Synergy Retro(シナジーレトロ)』 とか。過去と未来、想いと想いがつながるイメージ」
「…いい!!」
3人が声をそろえた。
*それぞれの春、動き出す未来*
窓の外には、少しずつ春の光が差し込んでいた。
4人の胸には、ワクワクする新しい夢と、静かな決意が同時に芽生えていた。
「よし、シナジーレトロ、始動だね!」桜子が立ち上がる。
「この春、絶対素敵なことが起きる気がする!」
そう言って、4人の笑顔が重なる。
まるで、まだ見ぬ未来を予感させるように――。
🌸 次回予告:第31話「レトロの記憶、未来の服」
新しいプロジェクトに動き出した4人。
けれど、その道のりには予想もつかない課題が待ち受けていた。
「レトロを未来へ」――その言葉の意味を、彼女たちは試されることになる――。